女装したことはない。服も持っていない。誰かに見せたこともない。
でも夜になると検索だけはやめられない。
女装した男を見て、画面を閉じる前に少し止まる。
買おうとしてやめる。履歴を消して終わる。
その繰り返しだった。もう今さらと思ったあと、また同じページを開く。
豊橋日中。昼間の静かな部屋で、女装してみたい気持ちをそのまま持って来る人がいる。
Sは無理に変えない。似合うとも言わない。
ただ、隠している感じだけは見逃さない。
最初は話すだけでもいい。何も持っていなくても構わない。
そのまま閉じれば、また同じ検索に戻る。
初めて「本当は気になっていた」と口にした時、少し肩の力が抜ける。